ロバートキーガンさんの免疫マップの特徴

ロバートキーガン博士(2019 ITC養成講座にて)
ロバートキーガンさんは、ハーバード大学で教育大学院の教授を務めている方です。この方の理論で、免疫マップというものがあります。 その内容は、人や組織が変わる必要性を認識しているにも関わらず変革できない要因は、変化に対する防御の心理が免疫機能のように存在して相反する目標の両方を達成しようと脳が働いているからで、変革を阻むものをあぶり出して無意識下にある強力な固定観念を顕在化することで、免疫機能から自由になり成長することができるという組織変革理論です 成長のために必要な変革をしようとしても「変わりたい」「変わりたくない」という両方の心理が同時に働いて、変化に至らないことがあります。どのような心理によって阻害されているのかを理解するためには免疫マップの作成が有効とされています。 免疫マップの特徴として、ひとつ「改善目標(表の目標)」、ふたつ「阻害行動」、みっつ「裏の目標(阻害行動をとってしまう理由)」、よっつ「強力な固定観念(裏の目標の理由)」の4つの柱があります。深い内省と無意識下にある固定観念を意識して、その固定観念が本当に正しいものであるのかを検証します。誤った固定観念であれば、それを覆すことで成長をすることができるといったものです。 これらを実践して組織の変化と成長を促すには、リーダー個人の姿勢と社員が自分の弱さをさらけ出せ、克服するためのフィードバックを受け入れやすい組織文化(発達思考型組織)である必要があるという特徴があります。 お問い合わせ・お見積もり・ご予約はこちら オープン開催のスケジュールはこちら(peatixサイト)

発達指向型組織(DDO)

発達指向型組織Deliberately Developmental Organization、略してDDOとは、ロバート・キーガンさんと、リサ・ラスコウレイヒーさんが提唱する成人発達理論に根差した組織文化を持つ企業形態のことです。 ロバート・キーガンさん達は、VUCAワールド(Volatility:変動性、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、 Ambiguity:曖昧性)という激動の世界において、組織には次のような要件が求められるようになったと言及しています。
1. 全ての労力をパフォーマンス向上に集中できる状態を目指す
激動する環境の変化に適応するべく、付加価値を創出し続けられる状態にするためには、余分な対応を極力減らした方が良いとは誰もが思うことではないかと思います。 しかし、多大な「余分な労力(≒コスト)」が存在しているものの、それは組織内では見逃されたままになっているものがあるのです。 それは「自分の弱さを隠す」ことによって発生する余分な労力です。 このような余分な労力は、いずれの組織においても何かしら発生してはいますが、それは仕方ないものと思われていたり、何かしら文句を抱きながらも有効な手を打てないままになっていたりするというのが実情です。 これらの「自分の弱さを隠す」ための余分な労力を削減することができれば、パフォーマンス向上に全集中できる状態により、近づくことができるようになります。
2. 個人と組織の絶え間ない進化を可能にする
環境が激変するということは、ことビジネスにおいては、求められるパフォーマンス要件が変わることを意味しています。しかも、ただ要件が変わるだけでなく、競争原理もそこには加わっていることで、より高度で難易度の高い要件を満たすことが求められるようになります。 これは、これまでのマインドセットや組織デザインを改良するレベルではなく、個人や組織がそれまでの自己を「超越」できる状態を目指すことであると言及されています。
3. 組織そのものを能力開発の場にする
研修を始めとしたオフサイトの人材育成の取り組みには、いくつかの共通する限界が存在していると指摘されています。 これらの限界を超えていくためには、組織文化が他のビジネス上の目標(収益性や品質など)を後押ししているかだけではなく、文化が人々の成長を後押しできるかを問い、それを目指すこと、そうした成長の支援が、はっきり目に見える形で、日々の業務を通じて常に継続的に実践される必要性が説かれています。
4. 従業員が経済的な報酬以外の心理的な報酬も得られるようにする
VUCAという地殻変動の中で、個々に対しても進化を強いられ続けているということから、単なる金銭や社会的地位を求めるような報酬だけでは、個人は満足できなくなってきていることも指摘されています。 「変わらねばならない、成長しなければならない」という絶え間ないプレッシャーに晒されていく中で、「自分にとっての本当の幸せとは何だろう」という漠然とした自問自答をしている人は確実に増えてきています 企業は既存の経済的な報酬に加えて、このようなニーズに応えられなければ、優秀な人材を流出させるだけでなく、「私は自分らしくしたいので、これ以上は働くつもりがありません」といった防衛的な姿勢に終始する社員に翻弄されることになってしまいます。

成人発達理論について

リーダーシップを振るうために必要な資質について、様々な書籍が出版されていますが、リーダーの能力の最も強力な源泉には目が向けられていません。その能力の源泉とは、人間は何歳になっても世界を認識する方法を変えられるという可能性です。この可能性は、リーダー自身にも、組織のメンバーにも備わっているものです。 成長していくごとに、「認識の枠組み」が広がって、世界をより豊かに深く捉えられるようになるのです。 これは、組織を率いるリーダーがリーダーシップを発揮しようとする時に大きな「強み」となります。 これについて言及した理論が、成人発達理論となります。